ラスト24分間のタップダンスがすごい!水谷豊監督作品『TAP THE LAST SHOW』

こんにちは、ルナールです。

 

あなたはタップダンスに興味がありますか?

もしかしたら、北野武監督の『座頭市』でのラストのタップダンスシーンをはちらっと見にしたことぐらいはあるかもしれませんね。

タップダンスってなんとなくかっこいいイメージはあるけど、ふだんは見る機会もあんまりないしそれほど身近なものっていうかんじではないのは確かだと思います。

 

そんななか、『TAP THE LAST SHOW(タップ ザ ラスト ショウ)』という、タップダンサーたちの物語を描いた映画が登場しました。

監督は、ドラマ『相棒』でおなじみの水谷豊。

公開されたのは2017年で、私も前々から気になりつつもなかなか手が伸びず・・・というかんじだったんですが、先日ようやくDVDで見たところとても感動したので、今回はこの映画をぜひご紹介させてください!

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映画のあらすじ

その昔、左足に大怪我を負った天才タップダンサー・渡真二郎(水谷豊)。ある夜、酒に溺れ自堕落な日々を過ごしていた彼のもとを旧知の劇場オーナー・毛利喜一郎(岸部一徳)が訪れる。長い歴史を誇る劇場「THE TOPS」の最後を飾るショウの演出の依頼であった。気乗りのしないまま参加したオーディションの途中で、席を立った渡の足を引き止めたのは、ある青年のタップの音だった。MAKOTO(清水夏生)の踏むプリミティブなパワーに溢れたリズムに、渡の止まっていた時間が再び動き始めた……。
これからトップに昇り詰めようという若手ダンサーとのパワフルで自由な舞台制作に意欲を燃やす渡。MAKOTOをはじめ、渡の厳しいオーディションを勝ち抜いたメンバーも加わって、「ラスト・ショウ」に向けて、ハードなレッスンが始まる。
幾多のトラブルを乗り越えて、迎えた最後の夜。今ひと際輝く、不世出のアーティスト・渡がステージを見守る中、「ザ・ラスト・ショウ」の幕が上がった――。

引用元:amazon商品ページより

そんな内容です。

この作品は、水谷豊が20代の頃に本場ブロードウェイで観たショーに衝撃を受け、その後40年ものあいだアイデアを温め続け満を持して製作されたものだそう。

 

まあ正直、ストーリとしてはこれといって斬新な要素があるわけではないです。

いちおう、日本のショウビジネス界の裏側というか現実というか、そういう部分がほんのちょ~っとだけ垣間見える内容なのかなとは思いますが。でもそういう内容の映画とかって他にもいろいろあるしね。

だけど実際、ショーの仕事だけで十分な収入を得られているのってほんのひと握りの人だけでしょうし、水谷豊自身が長いこと芸能界に身を置いているからこそ(ショウビズ界と芸能界ではちょっと事情も違うかもしれませんが)、いろいろと思うところがあるのかもしれませんね。

 

個人的には、タップダンスのショーをやろうという理由が、「つぶれそうな劇場の再建のために!」というわけではなく、「長年続いた劇場の幕引きのために」というのが、なんだか大人な感じがしてカッコいいなとも思ったりしました。

 

ちなみに、文中に出てくる「プリミティブ」ってなんじゃ?って気になったので調べてみたら、英語ではprimitiveと書き、「自然のままの・素朴な・原始的な」とかそういう意味だそうですよ。

なるほど、なんとなく伝わる気がする。

 

作品の見どころ

では、私が個人的に「見どころだな」って思う所をご紹介します。

ラスト24分間のタップダンスのシーン

 

ラストのタップダンスがみどころ

これはもうこの作品のいちばんの見どころなのは間違いなし!!

というか、このタップダンスのシーンのための映画でしょうからね。

 

どの曲もすばらしいんですが、とくに最後のほうでメインのダンサー5人で踊る『感動のダンス』(という演目だそうです)は、3分30秒ものあいだ誰ひとり一瞬たりとも休めるタイミングがないような振り付けになっていて、見ているこっちまで息苦しく・足がつりそうになるぐらいダンサーたちのリアルな息づかいとか空気感みたいなのが伝わってきて、とても素晴らしかった!!

これについては、今作の振り付けをしたHIDEBOH(ひでぼう)さんも、以下のようにコメントしています。

クライマックスの『感動のダンス』は、本来ならば手拍子を入れたりして、間を作るところですが、監督からNGが出ました。「限界を超えないと、感動のダンスにはならない」とおっしゃるので、バランスを度外視した、過度な振り付けでステップを追求しました。一堂に会したダンサーのパワーが、一心不乱に極限に立ち向かっていく。さらに監督のリクエストで、もともと2分30秒だった曲が、3分30秒に延びて!

引用元:映画公式サイト HIDEBOH COMMENT

 

ただちょっと欲を言えば、あえての演出方法なのかなんなのかは分かりませんが、ダンスとダンスの間の『切れ間』っていうのかなぁ、そういうのが感じられてしまったのが残念だったかも。

たとえば、ステージ上に何もない状態で踊っていたはずなのに、次のカット(演目)になった瞬間、唐突にステージ上が花びらで埋め尽くされていたりとか。

そういうのを見ちゃうと、一瞬でも「あ~、1曲づつ撮影したんだねぇ」っていう現実に引き戻されるような気持ちになってしまうんですよね。

せっかくの素晴らしいダンスシーンなので、いっそのこと本当のライブのように最初から最後まで一発勝負で撮るとか、それがムリならせめて繋ぎめが分からないようにして欲しかったなぁ。

 

とはいえ、そんなことも吹き飛ばすぐらいダンサーたちのパフォーマンスは素晴らしかった!!

水谷豊がかっこいい

水谷豊といえば昔はいろいろな役柄を演じていたそうですが、それを見たことがない私としては、完全に『相棒』の右京さんのイメージしかないんですよね。

で、その右京さんを見ていても、今までいちども「水谷豊かっこいい」って思ったことはないんだけど、今作の水谷豊は本当にかっこいい!!

まあ、もちろんキャラクター性とか見ための違いのせいっていうのもあるんでしょうけど。

堕落的だったり狂気的だったり優しかったり苦悩していたり、いろいろな表情をみることができて、お芝居のことはよく分からないけど凄い役者さんだなって思いました。

ドラマ『相棒』の出演者も登場

今作は、水谷豊が監督、そしてテレビ朝日が製作に関わっているということで、『相棒』の出演者もちょいちょい登場します。

私は普段ドラマを見ることがほとんどないので、相棒のキャストが他の作品に出演して違う役を演じているというのが、なんか新鮮でおもしろかったです。

キャスト

この作品は、水谷豊や岸部一徳・六平直政・北乃きい・六角精児など本職の役者さんたちもたくさん出演されていますが、やっぱり主役はダンサーの人たちでしょう。

映画の主役、タップダンサー(イメージ)

(上の画像はイメージで本編とは関係ありません)

タップダンスを踊っているのは、メインの青年MAKOTO役の清水夏生をはじめ、みんなオーディションで選び抜かれたという本物のダンサーの方たち。

役者にタップダンスを踊らせるのではなく、ちゃんと本業のダンサーをキャスティングしたところにも水谷監督のこだわりが感じられますよね。

清水夏生(MAKOTO役)

建築現場で働きながら夢を追い続けている、才能あふれる若きタップダンサーMAKOTOを演じているのが清水夏生(しみずなつお)というダンサー。

プロフィールを見ると7歳でタップダンスをはじめたそうで、テレビ番組やCMなどの出演経験もあり、冒頭でチラッと触れた映画『座頭市』のタップダンスのシーンにも出演されていたそうですよ。

そして、彼のタップはすごく細かくてすごく早いステップがすごい!

もし興味があればぜひ映像を見ていただきたいんですが、「え?どこから音出てるの?なにこれ!?怖い怖い(←もちろん褒め言葉です)」ってなります(笑)

例えるなら、いっこく堂の腹話術を見ているときのように、足の動きと音の多さがぜんぜん比例していない(ように見える)から、なんだか不思議な感じがする・・・それぐらい足の動きが速すぎてまったく肉眼では見えないんですよねぇ。

たぶん私のような素人は、ハイスピードカメラとかで撮った映像をスーパースロー再生?よく分かんないけど、そういうので見てようやく足の動きが分かるんじゃないかぐらいの早さ。

よければこちらの本人のインタビュー記事もご覧ください

2015年の埼玉県和光市のインタビュー記事

西川大貴(JUN役)

MAKOTOのライバル役で、自閉症気味で吃音症(きつおんしょう)(言葉をスムーズに話せない症状)を抱えたJUNを演じているのが、西川大貴(にしかわたいき)

今作はオーディションで選ばれたダンサーに芝居をさせているので、彼らの演技に関してはお世辞にも上手いと言えないですけど、「JUNの役の人は上手いじゃん」って思ってたら、この西川大貴さんはもともと『アニー』や『レ・ミゼラブル』などのミュージカルにも出演されている方だそう。

ダンスだけでなく、音楽活動や脚本・演出などもされているようですね。

HAMACHI(RYUICHI役)

普段はホストとして働いている野心溢れるタップダンサーRYUICHIを演じているのがHAMACHI(はまち)

HIDEBOHさんと一緒にLiBLAZE(リブレイズ)というタップダンスのグループで活動しているようですね。

でも、『HAMACHI タップダンサー』で検索すると、トップに出てくるのはダンスとは関係ない本人のブログ(笑)

もし気になったら、↓をポチっとしてみてください。

HAMACHI タップダンサー
検索

太田綾乃(MIKA役)

喘息持ちのお嬢さまタップダンサーMIKAを演じるのは、太田綾乃(おおたあやの)

彼女もJUN役の西川大貴と同じく、『アニー』や『赤毛のアン』などの舞台のほか、ドラマなどにもいろいろ出演されているようで、今作のダンサー陣のなかでは演技もできるほうなんでしょうね。

彼女のフラメンコやセクシーダンスは美しかった!

佐藤瑞季(YOKO役)

ぽっちゃりで笑顔が素敵なYOKO役は、佐藤瑞季(さとうみずき)

残念ながら、この方の情報はほとんど見つけられませんでした。

でも、ぽっちゃり体型でもあれだけ激しいタップを踊れるのは本当にすごいと思うし、鍛え上げられた体のダンサーが踊ってるのを見るよりも、なんか「自分も頑張ればできるかな?タップダンスやってみたい!」って思える良いきっかけになるのかも。それに、勇気と希望が持てるような気もしますよね。

HIDEBOH(アステア太郎役、タップダンス振付・監修)

今作の振付・監修を務め、作中ではタップ歴50年超の老ダンサーのアステア太郎として出演しているのはHIDEBOH(ひでぼう)

北野武監督の『座頭市』でも、振付・総合演出を手掛けていて、もちろん出演もされています

お父さんがタップダンサーで、その影響で6歳からすでにタップダンスを始めていたようですね。

北野武とは、お父さんの仕事を見に松竹演芸場に行ったときに出会い、可愛がられていたそうです。Wikipedia火口秀幸

現在はよしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属していて、吉本坂46というアイドルグループ?のメンバーだそうな。

テレビ出演もたくさんされているので、タップダンスに興味がない人でも目にしたことがあるかもしれませんね。

タップダンスを身近に感じてほしい

enjoy tapdance

いかがでしたか?だいぶ長文になってしまいましたが。

 

この映画、お芝居が本職じゃない人たちも多いので演技のほうはまあ温かく見守るとして(笑)、ストーリーも後半になって急になんかゴチャゴチャしてくる印象ではありますが。

それに、興行収入もだいぶ低かったみたいなので、ビジネスとしては失敗だったのかもしれません・・・

 

とはいえ、メインであるタップダンスはとにかく素晴らしい!!

そして、水谷豊という著名なかたがこのようなタップダンサーを題材とした映画を作ったことは、日本のタップダンス界においては、世間にタップダンスのカッコよさを知ってもらえる良い機会になったのかもしれません。

 

あなたも、もし興味があればこの『TAP THE LAST SHOW』を見てみてください。

 

「映画に興味はないけど、タップダンスはおもしろそう!」って思ったら、ぜひ生でタップダンスを見てみたりとかちょっと体験レッスンに行ってみるとかして、タップダンスを身近に感じてもらえたら嬉しいなぁ。

 

あ、なんか、いかにも「タップダンス界の関係者」みたいな言いかたをしていますが、私は、「40代になる前になにかしたい!!」って思い立ってギリギリ30代のときにタップダンスを習い始めたっていうだけの、ただのタップダンスファン(初心者)です笑

 

 

最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。

 

 

 

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